あたしはいい気分だったけど、百合ちゃんは違ったらしい。
当たり前か。
「葉月ちゃん、内緒にしててごめん!」
平謝りに謝った。
「また今度ゆっくり事情を話すから、今日は勘弁して!」
「なんで?」
「大ちゃん、明日から修学旅行なんだもの。
しばらく会えないから。ねっ、お願い!」
可愛く謝られてしまった。
うーん・・・でもあたし1人のけ者だったからなあ。
てこでも動かないあたしに百合ちゃんの方が逆切れしてしまった。
「もう、いいっ!葉月ちゃんなんて嫌いよ!」
ぷいっと横をむく百合ちゃん。
百合ちゃんったら・・・可愛い・・・?
・・・ん?
なんだろう、この感情・・・?
あたしは自分の感情はとりあえずそのままにして、
百合ちゃんをなだめる事にした。
「ごめん、百合ちゃん。内緒にされたからちょっと悔しくて」
なんかドキドキする。なんで??
「もう意地悪しないからさー、許して。ね!」
百合ちゃんがくるっと振り返った。
「菜月ちゃんにいつ紹介するか悩んでたのよ。菜月ちゃん綺麗だし、不安だったんだもん」
あたしが綺麗??
ドキドキは更に大きくなる。
やっばい。興奮しすぎ??
「百合ちゃん、あたし、ちょっと具合悪いから、帰るわ」
そういうと、百合ちゃんのことみないで急いで家に向かった。
百合ちゃんから離れるとちょっと落ち着いた。
百合ちゃんから離れるとちょっと落ち着いた。
やだなあ。なんだろう???
とりあえず、家に帰って落ち着こう。
それにしても・・・
百合ちゃん、ほっぺをピンクにして可愛かったなあ。
よっぽど彼が好きなんだ。
ずきっ。
ず・・き・・・??
百合ちゃんの顔がふっと頭に浮かんだ。
ぽっ!
顔が赤くなったのを感じた。
え?えええええ????
え?えええええ????
あたし、何考えてるの??
その途端、まるで死ぬ間際の様に、百合ちゃんとのことを思い出していった。
ひええええええーっ!!
あたし、あたし、
あたし、あたし、
「恋しちゃったってこと?!」
いつかはくるとは思っていたけど、まさか女の子に恋をするとは・・・。
そうよね、違うわよね。
けど、何度考えても、恋以外に考えられない。
困った~。
困っちゃったよ~。
どうしよう。どうしたらいいの??
ピンクの美しい夕焼けを見ながら、あたしは途方に暮れていた。
兼田葉月17歳。遅すぎる初恋だった・・・。